作家ソノミの甘くない生活

人気作家である群 ようこ氏の筆による「作家小説」。
本が好きでプロダクションに入ったことがきっかけで、原稿を依頼されるようになり主にエッセイなどを書くようになった作家、ソノミですが、歳を取るにしたがって集中力も記憶力も欠けてきますし、母親の老いといった問題とも直面しなければなりません。
折からの不景気によって叔母の店は閉店することになりますし、自分の本にしてもなかなかベストセラーとはいきません。
タイトル通り、彼女の生活は甘くないのです。

一方でソノミは、オーディションや新人賞を経ずに、仕事が認められて作家としての地位を確立していったタイプで、よりプロ向きと言うか、作家全体としても才能が豊かな方にも見えます。
だからこそ、「選びながら」の仕事もできるし、適宜休憩を挟んだりして自分の好きなペースでやれたりする部分があるのですが、そうした分かる人には分かるような「情報」を盛り込みながらも、決して高飛車にはならずに、出版社側の人に何か言われてもめげずに執筆に打ち込む生真面目さがソノミの長所であると言えます。
また、生真面目ということなら本書も手抜きの跡がない、非常に真面目な仕事がなされていると言えるでしょう。

様々な「作家小説」があるものの、本書のように、デビューしてから四半世紀を超えるというベテラン、しかもベストセラー作家でもなさそうな人を主人公にした小説は少なく、だからこそのリアリティに溢れてもいます。
何だかんだと言いながらの確かな仕事ぶりに頼もしさを感じますが、物書きの仕事により近い方の方がより共感するものは多いかも知れません。