はだかの太陽

世界三大SF作家に名を連ねるアイザック=アシモフの小説。アシモフといえば「我はロボット」など、自身が考案したロボット三原則を基にした作品を多く出していることが有名ですが、こちらも“ロボット”を題材にした話。同じくアシモフの作品である「鋼鉄都市」の続編で、主人公である刑事イライジャ=ベイリと、パートナーであるロボット・ダニール=オリヴォーが、地球の外、惑星ソラリアで起きた殺人事件を追っていきます。

現代のロボット開発においても強い影響を与えているロボット三原則ですが、アシモフは自身で考えたこの三原則の裏を突いたトリックを用い、事件を起こしていきます。

ソラリアの地球とは全く異なる独特の文化と思想によって捜査は難航。さらに犯人の手は事件の真相を探るイライジャにまで及びはじめ、パートナーであるはずのダニールまで捜査の続行に難色を示すように…。

地球以外の惑星との交流をするような未来を舞台にしていながら、イライジャ達の捜査は昔ながらの“足で探す”という、地道でコツコツした手法。しかし、それが古臭く感じないのがこの作品のすごいところの一つです。

SFミステリーの傑作と名高い本作ですが、(謎解き要素は勿論のこととして)特にすごい、凄まじいと思ったのは事件が集結した後。イライジャが地球に戻り、事件の仔細を上司に報告するシーン。

ロボットを用いることで発展し、文明を極めたソラリア。圧倒的な国家である彼らに、しかしイライジャは彼らが人類として生きていくために必要な、あるものを失っていることを指摘します。

他者の接触を必要としない世界、個人主義を至上とする文明の未来とはどんなものなのか。それを失うとはどういうことなのか。

50年前に刊行されたこの本は、けれど現代日本の社会が直面している“引きこもり”の問題や、“行き過ぎた個人主義”の社会が行き着く先を、極めて鋭く、理論的に提示しています。そしてそれはきっと、ロボットがあろうがなかろうが関係なく、“起こりうる”ことなのだと思わせます。

イライジャとダニールが活躍するシリーズはどれも面白いですが、特にとにかくこのラストのまとめが衝撃的で痺れました。

アイザック=アシモフ著「はだかの太陽」。ぜひ一度、色んな方に読んでみていただきたい作品です!