介護世代もそうでない人も介護が身近になる群ようこの「ついに、来た?」

群ようこさんの介護小説とも言える本書は、「ついに、来た?」というタイトルが象徴的な一冊です。

この本は幻冬舎の文芸誌「GINGER L.(ジンジャーエール)」で連載した8つの短編で構成されていて高齢者とその家族を中心に描かれていますが、どの話も身近に感じるものばかりです。

特に中年の世代の人が共感を覚える事柄が目の当たりにしているかのように話が展開されるのは、作者である群さんがご自身の経験から得た実感をもとにしているからではないかとさえ思えてくるのです。

介護される側は介護する側と比べると幸せだという人もいますが、必ずしもそういうケースだけではありません。
介護される側が自分の体が思うように動かないのにも関わらず、家族に遠慮して助けを求められない時もあります。

その一方、家族以外の人に家の中を見られるのが嫌で介護サービスを利用しない人もいます。

主人公達は全員女性でそれぞれライフスタイルが違いますが、親や親戚を介護する事と自分の生活の両立をするために四苦八苦している点が共通しています。

高齢化社会に必要なのは介護する側がされる側の気持ちを尊重する事ですが、今までと同じ生活を送る事が出来ないのは確かです。

彼女達が今のライフスタイルをキープしたい場合は家族や親戚の助けや介護施設が不可欠で、何度も話し合いを重ねながら介護を必要とする人達とのバランスをとろうとしているのです。

幼い時に面倒を見てくれた親や親戚が逆に世話が必要とした時、同じように面倒を見る事が出来るのかどうか考えると自信がありませんが、本書を読んでいるうちに介護に対しての心構えが出来てきます。
群さんの手にかかると深刻になりがちな介護のテーマでもさらっと読む事が出来るので、元気が出てくるのです。

介護で悩んでいる人もそうでない人もより身近に感じる本としてお勧めします。